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トヨタ セリカ[1970]

CELICA。その意味はスペイン語で〈天上の、聖なる、神々しい〉。そしてそのシンボルマークは天空を駆ける飛竜。若き日のオレにとってこのクルマはまさに名前のとおり“神々しい特別な存在”だった。
まったく違っていた。プロポーション、デザイン、曲面の張り、そしてそのコンセプト…数ある国産車の中にあってこのクルマはまったく違っていたのだ。少なくともその頃の自分の中では。
初めて実車を見た時のあのインパクトは今も鮮明に覚えている。今まで好きだったどのクルマも色褪せて見えるほどの(TOYOTA2000GTとコスモスポーツだけは別)そのカッコよさに、その日から完全にこのクルマの虜になっていた。

見てくれ!この美しいプロフィール。現代のクルマでもここまでスタイリッシュなヤツはなかなかいないゼ。
アメ車にデザインの起源を求めたのは明らかだが、限られた寸法のなかでここまでキレイに、そして個性的にまとめ上げたデザイナーの力量は見事!
日本初のスペシャルティカーとして華々しくデビューしたこのクルマは、ありがちだったセダンをチョチョイといじって「本格スポーツでござい」と名乗っていた多くのスポーティーカーとはまったく違い、最初から唯一無二の“スペシャル”を目指して設計されたために、この美しさを手に入れたのだ。(もっとも、同時デビューした「カリーナ」とコンポーネンツを共有していたためにしばしば“兄弟車”なんて呼ばれたがそのデザインには雲泥の差があり、セリカとっては迷惑なハナシだったに違いない『カリーナファンの方、失礼』)。

そしてさらに画期的だったのがこの“フルチョイスシステム”。従来のような段階的グレードを持たず、それぞれ3種のエンジン・トランスミッション・外装と、8種の内装をユーザーの好みによって組み合わせるという独自の車格設定方法だ。ただしDOHC115psを積んだ最上級モデルの1600GTだけは固定され独立した車格だった。とはいえ実際には、混乱を避けるためディーラーで推奨する組み合わせの中から選択するケースが大部分だったと聞く。

どういう訳かこの初代カタログにはこのクルマのバツグンのスタイリッシュさを強烈にアピールする写真がない。しかたがないので後発のリフトバックがデビューしたときのカタログより、これも遅れてデビューしたGTとGTVの写真でこのスタイルをじっくりご覧いただこう。
伸びやかで張りのあるフロントフードはゆるやかなウエッジを描き、その先端に先鋭的なフロントフェイスが構える。当時とすればきわめて斬新なボディ一体型のバンパー、かなり奥まって位置する円形ヘッドライトとフロントグリル。これを精悍といわずに何といおう。前方から見るとこの奥まったライトの上半分がフード前端に隠され、まさに獲物を狙う猛獣のようなスルドイ表情を見せた。典型的なロングノーズ・ショートデッキのサイドビューのバランスは絶妙の美しさ。キュッとくびれた筋肉質のふくらみを見せてスムーズにリアへと流れるそのラインの完成度には、コケおどしのスポイラーなどは絶対に似合わない(オプションで用意されてはいたが…)。一点の非のうちどころもないこの美しさは、もしかして神の手によるものか?!おっと、思い入れが強すぎてついついコメントが長くなってしまった…。

参考までに大人気となった後発のLB(リフトバック)。今見ても確かにスタイリッシュだがオリジナル信奉者としてはどうしても好きになれなかった。

エンジンは4本立て。1600GT専用のDOHCエンジン以外はすべてOHVだが、ダブルロッカーシャフトの採用で、DOHCのようなバルブ配置を実現していた。
フルチョイスシステムで1600ツインキャブ(懐かしい響きだ)、1600、1400の3種類のうちから選択できる。ミッションは当時はやり始めた5速、4速、そしてオートマチック(トヨタではトヨグライドと呼んでいた)の3種類のうちから選択できた。

低いプロポーションとロングノーズを活かした“ミドル&ロー”のドライビングポジションで“レーシングカー並みの操縦安定性”を実現していた(らしい)。
サスペンションはフロントがマクファーソン・ストラット、リアが4リンク・ラテラルロッド。優れた操縦性を実現していた(らしい)。(悲しいかなこのシリーズに登場するクルマは少年時代のオレに運転できるハズがない。カタログを何度も読み直して所有した気分に浸る、夢見るカタログ少年だったのだ、オレは…。したがって操縦性やフィーリングに関する記述はすべてカタログからの受け売りなので当然突っ込んだコメントができないノダ。)

見開きのイメージフォト。プロポーションの良さがよくわかる。

これがGT。ハニカムグリルに大きなGTバッジ、マグネシウム風ホイールキャップ等が特徴。
スタイリングの良さについてはすでに多くを語りすぎたのでここはあっさりと…。

そしてST、ET、LT。ETとLTは地味な横バーグリルと平板なフェンダーミラーでいかにも廉価版のイメージ。
スタイリングの良さについてはすでに多くを語りすぎたのでここはあっさりと…。

シートはヘッドレスト一体型のバケットタイプ。リアシートも一応3人がけだがかなりキツそう。
センターピラーレスのスッキリとしたサイドビューは当時の大流行。

インパネは豪華な5連メーター。GTのみ専用タイプだが、他は微妙な違いで8ランク用意されていた。

セリカのさまざまな魅力を紹介したページ。今ではあたりまえのボディと同色の“エラストマ・カラーバンパー”がオプションで用意されていた(左ページ)。金属バンパーを樹脂でコーティングしたものらしい。この画期的なカラーバンパーにもセリカの魅力を多いに感じていたが、街ではほとんど見かけなかった。

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